KINOの雑な映画鑑賞記録 

2024年の目標は見た映画の感想を一言でもいいから記録することです!

夢の断片を辿る:ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯へ

ビー・ガン監督の『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯へ』(2018)をAmazonプライム観た。

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主人公のルオ・ホンウ(ホアン・ジエ)は父親の死をきっかけに12年ぶりに故郷である凱里(カイリ)に帰郷する。当時、主人公には白猫というあだ名の友人がいたのだが、マフィアに殺された過去があった。彼は友人を殺したマフィアのヅォ・ホンユエン(チェン・ヨンゾン)を見つけるため、彼の愛人、香港の女優の名を語るワン・チーウェン(タン・ウェイ)に近づくのだが、やがて2人は恋に落ちる。しかし、マフィアの愛人と一緒に居られるはずもなく、彼女は彼の前から姿を消してしまう。忘れられない彼女の面影を追って、主人公は現実と記憶と夢が交差する奇妙な旅に出る。

 

話自体はシンプルであるが、非常にミステリアスな映画だった。

観ながら思い出したのが、昨年公開されたパク・チャヌク監督の『別れる決心』である。ミテリアスな未亡人を演じていたタン・ウェイが印象的だったのだが、この作品もふてぶてしく、そしてつかみどころのないタン・ウェイの魅力が溢れている。

劇中では、鏡越しやガラス越しに登場人物を眺めることが多い。だから人物の顔がはっきり見えなかったり、ぼやけていたりするのだけど、多分これは主人公が過去の記憶や夢の断片を辿りながら、忘れられない女性を探す物語だからなのだと思う。

あと、この映画では泣いている人が何かしらの果物を食べている描写がある。

主人公の母親が昔、「人はすごく悲しい時、リンゴの実も種も1個丸ごと食べる」ということを息子に言っていて、その後出てくる登場人物もみんな悲しいときにはリンゴを食べている。ただ、映画館で映画を見ながら感動して泣いているワン・チーウェン(タン・ウェイ)はリンゴではなく、劇中で主人公とワンの間でよく話題になる柚子(ヨウズ)=ザボンブンタンを食べている。